つれない男女のウラの顔

途端に顔を真っ赤にした私を見て、成瀬さんは「まるで中学生みたいな反応だな」と破顔した。

成瀬さんだってこういう話題に慣れていないはずなのに、なぜか余裕を感じる。いつものことだけど、私だけがテンパっていて少し悔しい。

けれど言い返す隙もなく彼に首筋を軽く吸い上げられ、身体がぴくんと跳ねた。不意打ちの甘い攻撃に、顔だけでなく全身に熱を帯びていく。


「も、もしかして痕を…」

「大丈夫、つけるならもう少し目立たないところにするから」


キスマークというやつをつけられたのかと思ったけれど、どうやらこの程度ではつかないらしい。


(目立たないところには、つけてくれるんだ…?)


想像してニヤけてしまった。どうやら私は、彼に触れられた証が欲しいらしい。キスマークが欲しいだなんて、恥ずかしくて言えないけど。


「京香」


再び熱い視線を向けられ、息を呑んだ。()の表情になった彼は、妖艶という言葉がよく似合う。

その目に見つめられると吸い込まれそうになる。まだ始まってもいないのに、もう思考が停止している。


「本当に止めないぞ」

「はい…お願いします」

「なるべくゆっくり進めるから。でも、どうしても怖くなったら言って」

「わかりました…」

「ただ、あまりにも京香が可愛すぎたら、最後まで優しく出来ないかもしれない…その時は…」

「大丈夫です。我慢しないで、旭さんでいっぱいにしてください」


言い終えたと同時、どちらからともなく唇を重ねた。

はじまりを告げるかのような、熱くて優しいキスだった。
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