65リットルよりも、笑って。
無理だよ。
春海お姉ちゃんじゃ、この難しすぎる男は落とせない。
いつか幸せにしてくれるならいいけど、たぶんこの人は私のことをずっと心に置いているだろうから。
それでもいいなら譲ってあげるけどね。
嫉妬深い春海お姉ちゃんじゃ厳しいでしょ。
「まあ、奪えるものなら」
「…あんたのそーいうとこ、ほんとムカつく」
「だって残念ながらこのひと、私のことしか見えてないみたいでね~」
それに春海お姉ちゃんのタイプは正反対じゃん。
あの乙女ゲーム、セーブデータを何個も作れるから春海お姉ちゃんのデータで遊んだときがあった。
そしたら年上クールじゃなく可愛い弟キャラを攻略してたよね。
「また来るから。イカルガ先生を落としに」
握っていたビニール袋を私へと乱暴に渡して、涙を拭った春海お姉ちゃんは病室を出ていった。
「え、なんか怒ってる?」
「……おまえは奪われていいのか」
「へ?」
「…俺が、他の女に奪われてもいいのか」
そしてこちらはどこか不服そう。