65リットルよりも、笑って。




「なゆちゃん…!」



もう、だから大丈夫だってば。

ベッドからうまく起き上がれなくて落ちただけで、美子ちゃんは手作業を放ってまで駆け寄ってきた。



「大丈夫?ケガはしてない…?」


「へーきへーき。ね、すごいアグレッシブな起き方でしょ?」


「…私に体重預けちゃっていいからね。せーの、で身体を起こすよ」



1度麻痺症状が出た身体は、2度と治ることはないんだと。

それからの私は松葉杖ではなく車椅子で過ごすことのほうが多くなった。



「みぎ、ひだり、みぎ、ひだり。…よし、今日もクリアだ」


「……赤ちゃんもこんな歩行練習しないよ」


「そりゃあ、赤ちゃんにはできないすごいことをなゆちゃんはしているわけだから」



だからなんなの、その超ポジティブ。

佐藤先生ってほんと生きるの楽しそう。
なにが起こっても平気そう。


今日も先生のサポートだらけのリハビリ。


なにかあれば「ごめん」と謝ってしまう私に、「つぎ謝ったら強めのデコピンするよ」とか言ってくる爽やか系ドS理学療法士。



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