65リットルよりも、笑って。
「佐藤先生、少しいいですか」
「ん?どうした泰斗」
この時間に来るなんて珍しい。
いつもは休憩時間とか、私がリハビリを終える頃にリハビリテーション室に来るってのに。
現れた担当医は、学生時代からの先輩である佐藤先生を呼んで、なにかを話しているようだった。
そんな斑鳩先生は、どうにも私の知り合いを連れてきていたらしく。
「春海お姉ちゃん?また来たの?」
「またってなによ…」なんて、いつもなら言ってくる。
しかし先生の背中に隠れるようにしている春海お姉ちゃんは、複雑そうな顔を見せてくる。
あ、もしかして本当に先生を落とそうとしてる?
春海お姉ちゃんと泰斗くんか……。
んー、いちばん想像できないから却下。
「なゆ、あんたに会わせたい人が…いて…」
先生に合図されて、春海お姉ちゃんは私のそばにぎこちなくやってくる。
ちょうど今日のリハビリテーション室にはいつもより患者さんが少なかった。
雨だったっていうのもあるかもだけど、他にはもう1人くらいしかいない。