65リットルよりも、笑って。




「あっ、あり、…が…っ、ありがとっ、ねえ…っ」


「っ、なゆ、ごめん…、ごめんね、ごめんなさい……っ」



あのね、お母さん。

私ね、過去に付き合っていた男の子にも馬鹿にされたんだ。


あなたの娘はこんな姿になって、無様に笑われたのですよ。



「あり、っ、がと、ねえ……っ」


「ほんと、にっ、ごめんなさいっ、なゆ…っ」



ありがとう。

来てくれて、ありがとう。
顔を見せてくれて、ありがとう。

元気そうにしていてくれて、昔みたいに笑いかけてくれて、名前を呼んでくれて。



「ありっ、ありが……、」



そこで、我慢ならなくなって動いたのは母親ではなく。

来るなと言ったにも関わらず近づいて、ひれ伏すように「ありがとう」を繰り返す私を抱き起こすように腕のなかに包みこんだのは斑鳩 泰斗だった。


みんなが居る前で、堂々と。



「もっと…、もっと責めるべきなんだよおまえは…、」



この人は私の視界から母親を隠そうとしているのか。

それとも自分の顔を私に絶対に見せないようにしているのか。


そんな抱きしめ方だった。



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