65リットルよりも、笑って。
「こいつはな、おまえを捨てた女だぞ。娘の余命を知って初めて来るような…、だから謝ってるだけの、そんな最低なヤツだ。ありがとうなんか贈ってやる資格すらねえよ」
「泰斗…!!」
「斑鳩くん!!」
医師として患者のために起こす行動の限度を超えている。
そう判断した佐藤先生と美子ちゃんが彼を止めようとしたのは、最悪、彼の態度によっては解雇も考えられるからだ。
「…いいんです。その通りですから。私は自分の保身のためだけに……この子の母親という責任から逃げたんです」
「…今でさえ、寄り添うこともしないだろ。なんで、ですか…、なんで…だよ…」
「……ごめんなさい。斑鳩先生に言われた通り、私にはそんな資格…、ないです。…怖いんです…、なゆに触るのが……とても怖いの」
それを聞いて、佐藤先生と美子ちゃんまでもが何かを諦めたように静まった。
罪悪感に押しつぶされそうになるから、だよね。
背徳感に耐えられなくなるからでしょう。
捨てた娘に触るのが怖いという、また保身だ。