65リットルよりも、笑って。




「おか……、めぐみ、さん」



母親じゃない腕のなか。

母親以上の安心を感じられるようになった、腕のなか。


もう「お母さん」とも、呼ばないほうがいいね。


残されたあなたがどうか少しでも穏やかに過ごせますように。



「わたしは、しっかり……生きて…、しっかり……死んで…いき、ます」



その言葉を聞いて崩れ落ちたのは、美子ちゃんだった。


これね、私の格言なんだ。

“しっかり死んでいく”

自分の命の終わりをしっかり見つめることもまた、命あるものの義務であり役目なんだって思えるの。


お母さん。


私がいなくなったあと、お墓にカーネーションを飾ってやってください。

そうして娘のあたまを撫でるみたいに、気が向いたら墓石を少しでも撫でてくれたら嬉しいです。



私は幸せに、しあわせに、死んでいきます。



泰斗くん。

私は、あなたに出会うために生まれてきた。
あなたの優しさを味わうために、今生きている。


これこそ私の人生の────素敵な後付け。








< 212 / 253 >

この作品をシェア

pagetop