65リットルよりも、笑って。
「つーか、女で爬虫類得意とか珍しくないか」
もしかしてネックレス、雪の結晶じゃなくヘビのほうがもっと喜んだりしたのだろうか。
いや、そんなネックレスを探すほうが難関だ。
ははっと思わず笑ってしまうと、じっと見上げてくる。
「…どうした?」
「……わ…、よ」
「え?…ああ、向こうにもいるな」
こんなにも1日1日しっかりと話せなくなるだなんて思わなかった。
医者が何を言っているんだと誰かに怒られそうだが、実践経験が少ない研修医でもある俺は。
脳神経外科という、自分が専攻した科の現実を1日1日と痛感する日々だった。
「ねえ、ヘビってネズミとかも食べるって本当…?」
「ああ、本当だよ。溶かしながら丸飲みするんだ」
「ひゃ~、なにそれやだ~」
隣にいる若いカップル。
手を繋いで、笑いあって、動物園デートをしているありふれたカップルだ。
俺たちをチラリと見て、なにかを感じ取ったようにふたりはお互いの手を握り直していた。