65リットルよりも、笑って。
「おい見てみろなゆ。あのヘビでけえわ」
「……わ…、…よ」
「な、テレビとかでよく首に巻き付けるやつじゃないか」
手を繋いで、笑いあえる。
俺たちだってなにも変わらない。
「一緒に変顔でもするか?」
「…………」
「…よし、撮るぞ」
いつの間にか俺のスマートフォンの写真フォルダにはなゆの姿ばかりだった。
1年も経っていない短い月日のなか、毎日毎日と撮っているはずが少なすぎる。
なゆばかりが、少なすぎるんだ。
声、匂い、感触。
俺の脳の記憶にだって限界がある。
だから残しておきたいってのに。
「し……せ、」
「…ん?」
「…あ、……せ、」
汗……?
そういえば少し暑くなってきたか。
5月という過ごしやすい気候だが、動いていると汗をかいてくる。
すぐに俺はなゆの服の袖を捲って、風通しをよくしてやった。