65リットルよりも、笑って。
「…そろそろ時間か…。楽しかったな、なゆ。…また来ような」
動物園の閉園時間は17時だが、16時には病院に戻る約束だった。
ふれあいコーナーで触れあってみたり、いちばん良い場所でホッキョクグマを見させてもらったりと、なゆは何度か笑顔も見せていた。
ただ、終わりが近づいてきてからは消えた。
「なゆ、なんかジュース飲むか?」
園内のベンチにて。
さすがに今日は疲れてしまっただろうかと、俺はなゆの様子を確かめるように頬を撫でる。
「あのエナジードリンク、おまえのおかげで好きになったんだ」
頼むから笑ってほしい。
まだ何か欲しいものがあれば買ってやる。
買ってやるしかできないから、それだけでも。
ペンギンのぬいぐるみをずっと握っていたなゆは、俺に何かを訴えかけるように見つめてきた。