65リットルよりも、笑って。
「夕食、まだ取っていませんよね」
「……わざわざどーも」
「はい」
はい、ってなに。
いちいち腹立つ男だなこいつは。
ベッドに付属されているテーブルをこなれた手つきで動かし、そこに夕食を乗せてきた研修医。
「少なっ」
「…文句は受け付けていませんよ」
「いやいや、なにこれ。だってこの魚、半分しかなくない?いーや、一口だよこんなの」
魚だけじゃなくひじきの煮物っぽいものが小鉢にちょびっと、気持ち程度に飾られたリンゴもちょこっと。
汁もご飯も、もう少しよそってくれていい。
「儲かってないの?こんな立派な大学病院しといて。入院費用も馬鹿なくらい搾り取って!」
「患者の栄養を考えて、1日に必要なカロリーを計算して作られています。…残さずどうぞ」
「こんなの3分で食べ終わっちゃいますけどー」
この男は、一応は私の担当医なんだと。
まだ研修医だから主治医というわけではないけれど、専攻しているものが脳神経外科医でもあるため、渡会先生のサブ的な立ち位置で私のお世話を任されているらしい。