65リットルよりも、笑って。




「今までも私みたいな患者とかって……いた?」



臨床経験がメインである研修医は、病棟業務が中心だという。

なかには外来での診察を担当する研修医も居るらしく、この期待のルーキーはもちろん該当するようで。



「…俺が担当に回されたのは初めてだ」


「……そーなんだ」



しかしどうにも私のようなパターンは初らしい。

悪いことしちゃったな…と、生まれる罪悪感。


これも経験のうち。
的な気持ちで当てたんだろう上司たちも。


まあでも、こいつは無愛想な愛嬌ナシ男。

患者に深入りなんかしないタイプだろうし、そんな心配するほうが勿体ないや。



「あのさ、やっぱり抗がん剤ってさ…、ハゲる?」


「打ってから2クール目がピークだと言われてる。脱毛だけじゃなく嘔吐に倦怠感、それから食欲低下が基本だ。患者の体質や薬の種類にもよるが…他にも症状は出てくると思う」


「……そっかあ」



淡々と説明しちゃって。

医者だろうが何だろうが、結局はこんなのあなたからすればお金を貰うための仕事でしかないし、他人事だもんね。



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