65リットルよりも、笑って。




「それって本当に病気を治すための薬なの?聞いてるかぎり悪化させてるようにしか聞こえないよ」


「…抗がん剤に発がん性物質が含まれているというのは、おなじものを使って細胞を消していく必要があるからだ」


「ほらねー。最悪」



そうやってがん細胞を直接攻撃していくんだって。

つまり美容院で言うところの縮毛矯正。
あれも髪の細胞を1回ぶち壊すらしいから。


そうすることで癖をまっすぐに直すことができるけど、良いとは言えない物質が含まれてるし細胞を壊しているわけだから、身体には大ダメージ。


あと、結局は時間が経てば戻っちゃうよね。



「…いやだな。……もう…、やだなあ」



ウィッグ買っておかなくちゃ。
わりといいやつ。

一目見たくらいではバレない技術のものが作られていることを期待して。


時代に懸けよう、たのむよ令和。


……っても、そんなお金もなかったや。



「先生、」



何時まで勤務なんだろう。
たしかお医者さんって夜勤的なものもあるよね。

もう1度呼び止めるように声をかけた私に、そこまで迷惑そうな反応はされなかった。



< 43 / 60 >

この作品をシェア

pagetop