65リットルよりも、笑って。




「…いつかに駅のホームで誰かさんに奢ってもらったんだ」


「へー。よく分かんないけど、貰えるもんは貰っとこーっと」



白衣をまとった若い担当医がなにを言ってるのか、誰との記憶を話しているのかまったく分からない。

まあでも、この男の自腹なら話は別だ。
搾り取れるだけ搾り取ってやろう、この際。


プシュッと開けて、ひとくち。


なんとも身体に悪そうな味がする。



「私ね、いろいろ考えたよ」



やっぱり1日経っても読みづらいね、名前。

今日になったら少しは読みやすくなってるんじゃないかなとか思ったけど、そんなことなかった。


名札を見てつい笑ってしまいながら、吹き抜けの天井を見上げる。



「世界一周…はさすがに厳しいから、せめて日本一周とか?まあどれも現実的じゃないことばっか考えちゃって」



隣に腰かけてきた。

ちょうどお昼休憩だったのか、私の話を聞いてくれるみたいだ。



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