65リットルよりも、笑って。




今日、わかった。

このひとって看護師にも患者にも人気があるってこと。


悔しいけどルックス悪くないし、むしろ顔だけはいいんだよな…って思わせられるし。

それで医者なんてさ。
揃いに揃ったステータス。


世の女たちであれば目を輝かせないほうがおかしい。



「……あっ!!思い出した!!思い出したよ先生っ!!駅のホームっ、これ奢ったの私じゃん!!」



忘れていた記憶が蘇る。
散らばっていた点と点がカチッと繋がった。

なにより思い出したことのほうが嬉しくて、無意識にも身を乗り出すように向けた笑顔。



「そうそう!私のこといちばん嫌いなタイプとか言ってきたっけね〜」


「……わ、わる、」


「え?わる?」



得意げに顔を覗きこんでみる。

ぎゅっと寄った眉、へへんっと追い討ちをかける私に素直になれない唇。



「わる、…悪かっ……、やっぱやめる」


「……いくじなし」



あと一文字だったのに。

その一文字は、この男にとってはとんでもなく遠いものらしい。


ふっと諦めて、そろそろ休憩終わるんじゃないの?と、言おうとしたときだった。



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