65リットルよりも、笑って。
「こらっ!レンヤくん!走っちゃダメよ…!」
「せんせー!オレこんなに元気だし!もう治ったし!1年生だもん!!」
「待ってレンヤくん…!」
大きめの赤いニット帽をすっぽりと被った少年が、タタタタッと院内を駆け抜けている。
若い看護師さんと鬼ごっこでもしているのかと勘違いしそうになるほど、男の子はそりゃもう楽しそうだ。
「あっ!タイト!」
戦隊ヒーローがプリントされたパジャマにサンダルを合わせた少年は、私の隣にいる男を指さす。
そうだよね。
中年医師が多いなかで若い研修医というのは、やっぱり子供たちからすればお兄ちゃんだ。
「タイトが女とラブラブしてる!」
どこかで転びそうだな…と、見るからに心配にもなっているのは私だけじゃないみたいで、隣が腰を上げたタイミングで。
─────ドテッ!!