65リットルよりも、笑って。




「っ、だってハゲちゃったらさ…、もう2度と……恋とか、できなくなるでしょ……?」


「…………」


「……バカみたいでしょ。今さら…、今さらこんなこと思うなんて。あんなに懲り懲りしたはずなのに……、自分がキモすぎる…」



最悪だ。

こんなことをいちばん話したくない人間に話しちゃってる。


まだそんな夢みたいなことを願っていたのかって、結局はそこに落ちるのかって、私だってこんな自分が嫌で嫌でたまらないよ。


でも、ずっとずっと考えたらさ。

そういえば今まで私、ろくな付き合いしてこなかったなって。


さあ投与するぞってタイミングで後悔したんだよ、きっと。


笑える。
こんなところに未練があったんだから。



「────…なゆ」


「…!」



布団のなか、つい起き上がってしまいそうになった。


初めてだ。

私の名前知ってたんだ、なんてからかうつもりはないよ。


こんなに嬉しいんだ……。
誰かに自分の名前を呼ばれることって。



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