65リットルよりも、笑って。




入院してからこの数日、親戚の家族たちは誰もここに来てくれない。

なにやら電話で主治医とは話していたらしいのだけど、電話で片付けられてしまう存在だったのかと落胆した。


あのひとたちは逃げたってことだ、病気から。



「俺はとくにそういうものをしたことがない。ずっと…勉強ばかりしていた」


「……アホらしいって思った?エリートな先生から見たら、こんなの…、くだらないでしょ」


「くだらなくない。…んなの、生きていれば誰だって欲しくなる当たり前のものなんだ」



そっか……生きている。

私はまだ、生きているんだ。



「……いーじゃん。モテモテな期待のルーキー、先生はこれからいっぱい経験できるし」



恋だけじゃなく、人生の経験がたっくさん。

私にはもう、治療と死しか待っていない。


だれを恨もうだなんて思ってないけど、それでも強いて言っていいなら、今になってこんなしょーもないことを嘆き出した自分を恨みたい。



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