65リットルよりも、笑って。




私……なにやってんだろう。

あんなにも小さな子供が頑張っているのに、私は嫌だ嫌だって駄々をこねて泣いて。


蓮夜と同じ敵と唯一戦えるはずの私が、どうしてあの子ひとりに任せているの。


私だってなれるかな…、正義のヒーローってやつ。



「抱っこしてママ」



あの子はきっと、抱っこされることが大好きなんだ。

母親の腕のなか、小さな強すぎるヒーローは幸せそうに笑って甘えていた。



「こんなところに居たのか」


「……ちょっとね、黄昏(たそがれ)てた」



誰に聞きつけたのか、息を上下させている足音は私の姿が見えたとたん駆け足に変わった。

お風呂は今日はやめておくことにして、連絡通路から見える夜景をゆっくり味わいながら部屋に戻る途中。



「ここ、ちょうどいちばん綺麗に見えたから。…てか先生こそ、今日は定時上がりじゃなかった?」


「…忘れ物して取りに来たら、おまえの姿がなかった」



え、なにそれ。

私の姿がなかったから、心配で心配で駆け回ってたってこと?



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