65リットルよりも、笑って。
………ストップ。
もしかしてこの医者、ついでに私の寝顔でも見にきたりしたの。
だってそうじゃないと病室に私がいないことなんて分からないよね?
「…昼間は、ごめん。てか最近ずっと……ごめ───」
「謝らなくていい」
なら、笑っておく。
“ありがとう”って言葉はまだ悔しいから、言いたくないっていうプライドも一応持ちながら。
「蓮夜って名前…、いいよね」
「…ああ」
「蓮(はす)って、お釈迦様が好きな花らしいよ」
こう見えて花の名前、詳しかったりするの。
小さな頃の夢はお花屋さんだったから。
可愛いところもあるでしょ?なんて笑った私を、彼はじっと見つめていた。
「……するよ。抗がん剤治療」
私の決意に、その瞳が微かに揺れる。
「それで蓮夜に言ってやるんだ。お揃いだよ~って」