家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
パーティ
ソフィアがまだ5歳の頃、隣国の王子様がこの街へやってきた。
そのときは国と国の交流のためにやってきたのだと、パパとママは言っていた。

ソフィアもイザベラも今まで着たことのないようなキレイなドレスを作ってもらって、家族4人で参加したのだ。
広場には沢山のお店が立ち並び、王子様を出迎えるための大道芸人たちも勢揃いしていた。

そこで飲食するのはほとんどが街人たちで、王子様はこの街の城で食事を取るのだと聞いていた。
けれど、やってきた王子様はソフィアやイザベラよりも少し年上の少年だったのだ。

少年は広場に出ている出店や大道芸人たちに心を奪われた。
付き人が何度も促さなければ広場から動こうとしない王子様を見て、王宮の人たちは急遽広場に食事場所を設けたのだ。

王子様は用意された豪華な食事よりも、出店の食べ物に夢中になってかぶりついていた。
それを見たソフィアは王子様の印象が一変したことを今でも鮮明に覚えている。
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