家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
王子様ってもっと堅苦しくて緊張感のある人だと思ってた。
その思い込みはいい意味で崩れた。

王子様も自分たちと同じ人間で、同じように笑って、泣いて、楽しむこともあるのだと。
それからソフィアは次に王子様が来るのを心待ちにしていたのだった。

それが、ついにやってくる!
小部屋の中で踊りだしそうになるのをどうにか我慢して、鉄格子を握りしめた。

マルクがまた寝入ってしまわない内に弾丸のように言葉を紡ぐ。

「王子様って今は何歳になったのかしら? 昔、広場で1度だけ見たことがあるけれど、それほど年が離れているようには見えなかったのよ。だからたぶん、20歳になるか、ならないかよね? それに、今回はどうしてこの街へ来るのかしら?

 あ、もちこんこのまちに王宮があるからってことはわかっているの。だけど、色々と理由があるでしょう? 国同士の付き合いとか、やり方とか。そういう会議でもあるのかしら?」

「うるさいな! あんたがどれだけ気にしたって関係ないことだろう」
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