傷心した私が一夜を共にしたのはエリート俺様同期~いつも言い合いばかりだったのに、独占欲強め、嫉妬心剥き出しな程に溺愛してくるのですが?~
「……ん……」

 そして、いつの間にか眠ってしまった私が目を覚ました時、

「陽葵……悪い……少しやり過ぎた……」

 隣で横になっていた一之瀬が心配そうに見つめながら頭を撫でてくれていて、視線がぶつかった。

「ううん、大丈夫……。その、寝ちゃって……ごめんね?」
「いや、それはいいけど……身体、平気?」
「うん、平気だよ」

 改めて聞かれると少し恥ずかしいけれど、そんな風に心配してくれるのは素直に嬉しい。

「どれくらい寝てた?」
「三十分くらいかな」
「そっか……あ、シャワー浴びる? 丞、先に使っていいよ?」

 明日も仕事だということを思い出した私は先にシャワーを浴びるか尋ねると、「……一緒に入る?」なんて問い返してきた。

「なっ!?」

 一応、仮の彼女ではあるけれど、一緒にお風呂なんて恥ずかし過ぎる。

「や、やだよっ! 一緒にお風呂だなんて、恥ずかしい!」
「いいじゃん、風呂くらい。今更裸見せたところで、恥ずかしいも何もねぇじゃん……」
「そ、そうかもしれないけど! でも違うの! お風呂は駄目! お先にどーぞ! タオルは洗面台の隣にあるチェストの一番上の段にあるから、好きなの使って!」

 一之瀬のデリカシーの無い発言にちょっとムッとしてしまった私は彼に背を向けて先に入るよう言い放つと、ゴソゴソと動き始めたのでシャワーを浴びに行くのかと思いきや……

「怒るなよ、分かった、風呂は一人で入るからさ……もう少しだけ、ここでこうしてたい」

 私の方へ身体を寄せてきた一之瀬は、後ろから抱き締めながら、耳元で囁くように言ってきた。

「――なぁ、一つ聞いていい?」
「……何?」
「これまでの男とさ……風呂、一緒に入ったりした?」
「しないよ、そんなの。言ったでしょ? お風呂は恥ずかしいって」
「そっか。ならいい……じゃあさ、俺らが正式に付き合う事になったら、一緒に入ってくれる?」
「だ、だからそれは恥ずかしいんだって……」
「――けどさ、風呂は他の男と入ってない事だろ? だから、それは俺が初めてになりたい。陽葵、結構色んな男と付き合ってきてるから俺が初めてになれる事……あんましねぇんだもん……」
「…………」

 最後の方は拗ねた感じで言葉にしていて、それが何だか少し可愛く思えてくる。
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