天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
「学堂はどうでしたか?」

「うん? まあ、いつも通りよ」

 泥団子をぶつけられた頭を隠すように髪をかき上げると、亘々の瞳が鋭くとらえた。

「……お嬢様、その髪の汚れ、どうされました?」

(げ、もう気付かれた)

「え、なんのこと? あら嫌だ、砂がついてる。汚れた手で触ってしまったからかしら」

「すっとぼけないでくださいよ。また嫌がらせされたんですね。あんの野郎共、一回首をぐきっとへし折ってやらないと分からないようですね」

「いや、それやったら死ぬから。やめて」

 私は呆れるように言った。本気でやりかねないから亘々は怖い。

「学堂がこの村にできたのだって、お嬢様の資金のおかげなのに、あいつらは搾取することしか頭にないんだから」

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