パティシエ総長さんとコミュ障女子
いつもこうだ。
私は人と話したりするのが怖い。
全く社交的とは言えない性格だ。
仲良くしようと努力をしてくれた人たちも、私がバリアを張って跳ね返してしまった。
昔の友達も、あの子達が離れて行ったんじゃない。
私が自ら殻に閉じこもったんだ。
この性格のせいでイジメを受けたこともある。
それが嫌で嫌でしょうがなくて、元々頭が良いわけでもないのに、必死で勉強して、中学校小学校の子が一人も入らないような名門校を受験した。
高校に入ってからはぴたりとイジメは無くなった。
高校の子達は、中学の子達より遥かに自立していて、他者に偏見を持っていなかった。
どんな癖のある人でも「個性」と認めてくれる。
それが私の僅かな救いだ。
そんないい学校にいても、私は話しかけてくれる人たちを跳ね返してしまう。
この性格はいつか治すことができるのだろうか。
みんなと笑える日が来ればいいな、と心の奥底では、密かに思っていた。
「…………ごめん」
ぼそっと呟いた。
せっかく話を振ってくれたのに、無愛想でごめんなさい。
去っていくその子を俯き加減で見つめると、彼女は突然振り返った。
「あっ……」
目が合った。
その子は口角を上げてにっこり微笑んだ。
「大丈夫」
口パクで伝えてくれる。
こんなにいい子なのに、私はまともに喋ることもできない。
どうしようもなく虚しかった。