新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜
中原さんと一緒に挨拶をしながら姿が見えなった途端、 競って高橋さんの席へと向かった。
「高橋さん!」
「あの……」
中原さんと声が被ってしまい、 お互いに視線を交わす。
「高橋さんの後任の後任は、 誰なんですか?」
私も同じ事を聞きたかったので、 頷きながら座っている高橋さんを見た。
「今、 そんな事……言えるわけがないだろう」
「そんな……」
「いや、 本当に誰なんですか? 俺、 真剣に困るんですよ。 知らないと……」
「知らないと、 何が困るんだ?」
「えっ? あっ……それは……」
中原さんは、 高橋さんに突っ込まれて、 逆に返答に困ってしまっている。
「今は、 そんな事より仕事が優先だ。 言ったからには、 滞らせられないからな」
「はい」
急いで席に戻り、 中原さんも私も業務に徹する。
何か……良いな。 こういうのって、 好き。 本当に、 これから先もこの3人でずっとやっていけたら良いのにな。 しみじみと感じていたが、 楽しい時というのは、 いつまでも永くは続かないものだいうことも、 わかっていた。
私が、 具合悪くて入院していた時も、 高橋さんと中原さんは、 2人で頑張ってくれていた。 そんな2人を、 本当に誇りに思う。 それと同時に、 このチームワークを後任の人が来ても、 また中原さんとは維持したい。 もし、 出来る事ならば、 その新しく来る人とも……そう願わずにはいられない。 そんな、 忙しくも楽しい月末だった。

< 164 / 167 >

この作品をシェア

pagetop