マフィアのお兄ちゃん、探してます

アジトの案内からの対戦!?

真生さんはまず俺のいるところの説明をしてくれた。
「ここはアールアールに所属している人達が集まる言わばリビングですね。キッチンで簡単な料理もできます」
「なるほど……」
キッチンはちゃんと水が通っているらしい。
「もしも敵が攻めてきたときに籠城できるように備え付けられているんですよ」
「あぁ……」
棚の中にはきちんと食材があって、賞味期限も守られている。
「では次に参りましょうか」
「はい!」
御手洗、プライベートルー厶、シャワールーム、あとは所属してないと入れない部屋がいくつか。
ぐるぐるアジトをまわって、リビングに戻った。
「おかえりなさいませ、白露様」
誰かがそう言った途端。
「おかえりなさいませ!白露様!」
えっ?えっ?
「え……?」
白露……様!?
「あぁ……俺の友達って話したらこうなってて」
苦笑いしてそう言う湊。
「さ、様なんて滅相もないので!俺なんかに様付けなんてやめてください……!」
手振りで全力で否定するように手を振る。
「いえいえ、湊様はわがアールアールにご貢献されている、アールアールUnder18部門で18歳の李保様を抜いてトップになられて、アールアールに史上最年少で最も貢献なされてる方です。そのご学友様に、どうしてタメ口など使えましょうか……」
湊が……アールアール史上最年少貢献者!?
「み、湊って、そんなに凄かったんだ……」
「あれ、言ってなかったっけ?」
ケロッとしている湊。
「めっちゃ強いってことでしょ!?早く言ってよ~!」
「いやいや俺は空手とか習ってるわけじゃないし完全に独学だから、そーゆー意味じゃはくの方が強いは、ず……」
湊はそこまで言って、ハッと気づいたように口に手を当てた。
何その「あ、言っちゃった」みたいな顔は……。
ハテナ顔の俺は、反射的に周りを見回す。
そこには……好奇に満ちた顔が並んでいて。
気づいたら、道場みたいな場所に立っていた。
「白露様、入団試験でございます」
なんかそんな番組ありそう。
呑気にそんなこと考えていたら、湊が呆れたように首を振った。
「おい、仮にもはくは一般人だし、まだ入るって決まったわけじゃないんだぞ」
「でも坊ちゃん、前に1度白露様と対戦したいと仰っていたではないですか」
えっ……初耳なんですけど?
ちらりと湊を見ると、しまった、と言わんばかりの顔をして苦笑いしている。
ねぇ湊……!
はぁ……とため息をつくと、俺はぐるりと辺りを見渡した。
湊とはかなり体格差があるから、障害物とかも鍵になってくるはず。……まぁ、道場(?)だから畳になってて障害物なんてないんだけど。
「俺何も聞いてなくて思いっきり制服なんですけど……大丈夫そうですか」
「あぁっ、そうでした!」
「では白露様、こちらへ!」
明らかに体格が良くて、筋肉がついたガッシリ体型の男の人に案内されて、服を手渡される。
「この服はアールアールの普段着…言わば制服ですね。こちらをこの部屋でお着替え、よろしくお願いします」
「わかりました……」
やけくそで服を受け取り、服を着る。
上はワイシャツみたいな感じで、下は黒いスボン。どうやら、動きやすさを重視された服になってるみたい。ズボンの腰の辺りに拳銃のホルダーがついていたのは、怖いから突っ込まないでおきます。
「白露様。今着ておられるセーターも着て構わないそうです」
「あ、そうなんですか?ありがとうございます」
正直俺は寒がりだから嬉しい。
セーターを着て、部屋を出る。
「よくお似合いでございます」
案内してもらった男の人が待っていてくれて、もう1回道場に行く。
「はく、めっちゃ似合ってる」
湊が目をキラキラさせてそう微笑む。
「では、勝負のルールをご説明致します。まず白露様は、湊様の体のどこかを床に付けられたらその時点で白露様の勝ちとなります。次に湊様。湊様は白露様の手を床に付けられたら湊様の勝ちとなります」
つまり、俺が圧倒的に有利ってことだ。
「それ俺不利すぎじゃね?」
「白露様は一応一般人ですので」
真生さんが苦笑して湊を諭す。
「まぁいいや。勝ちゃーいいんだろ?」
不敵に笑う湊に、お手柔らかに、と笑い返す。
そういえば湊と戦うの初めてかも……。めっちゃ緊張してきた……!
「では御二方、ご準備は宜しいでしょうか」
「おー」
「大丈夫です」
ぐっと拳に力を入れる。
「あ、言い忘れましたが畳の外に出た時点で出た方の負けとなりますのでお気をつけください。それでは……レディー、ゴー!」
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