君と二度目の恋に落ちたら
彼女のクラスは2組で自分のクラスの教室と階が違うため、彼女の姿を見るのはほとんど体育の授業の時くらいしかなかった。しかし、そのおかげで体育の授業が少し楽しみに感じていることに気が付いた。元々体育が嫌いだったわけではないが、好きだと感じられるほど運動をする人間ではないので楽しみにはなりえなかったのだ。

だからと言って体育の授業の間、彼女の姿をずっと目で追い続けるわけにはいかない。もし見ることができたらラッキー、それくらいに考えていた。

そしてその頃の自分は入学して1ヶ月くらいしか経っていなかったので、高校生活に順応していくことに必死だった。

授業のボリュームも日々出される課題の量も中学生の頃と全く違ったので、それをこなすことに慣れるには時間が必要だった。自分は部活に入らないことを選択したが、それでも慣れない課題の量にはびっくりした。

そして、高校は色んな人が集まっていて、出会いもたくさんあった。気の合う友人もでき、とても充実していると感じる。

彼女のことが頭の片隅にありながらも、僕はとにかく高校生活の日々を過ごすことに一生懸命だった。

そんなある日のこと。2週に一度変わる掃除区域が音楽室になった時があった。音楽を選択していなかった自分は音楽室に足を踏み入れるのは入学した最初の頃に校内を案内された時以来だった。

あの時は他にも回るところが多く、さらっと案内されただけだったので気が付いていなかったが、早めに掃除が終わって少しふらふらと周辺をうろついている時に自販機があることを発見した。

ここの自販機には何があるのだろうかと思い、近づくと自分はその自販機で売られているコーヒーが普段買っている自販機よりも少し安いことに気が付いた。もちろん自販機のメーカーも違うので、いつも飲んでいるコーヒーとは種類も違うがこれは試してみる価値があるなと思った。

早速、その次の日の昼休みにその自販機のもとへ行き、コーヒーを買って飲んでみたところ、普通に美味しかった。そして僕はそれからコーヒーを買う時は特別急ぐ必要がなければ、自分の教室からは少し離れているがその自販機を利用することにした。

まさかその選択で彼女との交流が始まるなんてことは、この時の僕は知る由もなかったのだ。
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