君と二度目の恋に落ちたら
歩き続けていると、私は海にたどり着いた。

そこは昔、家族で海水浴に来ていたところだった。夏真っ盛りな今日も、そこは海水浴客で賑わっていた。

私はそこで楽しそうにしている人たちを少し離れたところから眺め、昔の思い出を思い出し、センチメンタルな気持ちになった。

見ていると段々と辛くなってきたので、私は少し歩いて人がいない堤防にたどり着き、そこで座り込んだ。

ここでも海水浴客の声はかすかに聞こえてきた。

家族で海に行ったのは小学生くらいまでだったが、こんなことになるならもっと父との思い出を残せばよかった。

私は広い海を眺め、感傷に浸っていた。

無為に時が過ぎていったが、私はスマホの通知音が鳴ったことでふと我に返る。きっと通知の相手はもかだ。もかは私の家に来るということをいつも事前に知らせてくれていたので、今のもきっと彼女だろう。

結構歩いてここに来たので、そろそろ家に帰らないといけない。

私はそう思い、立ち上がった。だが、立ち上がった拍子に急に突風が吹いた。

急なことに私はびっくりし、体のバランスを崩してした。ああ、しまった…と思った時には遅く、私は海に落ちてしまった。


次に私は気が付いた時は、そこは夢の世界だったのだ。だけど、私はすっかり現実のことを忘れていて、そこを現実世界だと信じて疑うこともしなかった。

夢の中の私は、父がいて母がいて、もかがいて…父の事故が起こる前の平和な毎日を送っていた。

だけど、そこに前野くんはいなかった。どうしてだか、前野くんの存在はすっかり忘れて高校生活を送っていたのだ。
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