彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「俺は檜扇湖亀、高野湖亀を助けない。」
「瑞希お兄ちゃん・・・。」
「本当だね真田瑞希君!!?」
「マジです。あの女は、今までのツケを清算すべきだ。龍憲さんが死ぬ直後に言ったように、『ウソというものはいずれ暴かれる。』もんだ。嘘で塗り固めた人生、人の命を奪って作った繁栄は壊すべきだ。それが今なら俺にできる先祖供養だ。」







決意を込めて語る瑞希お兄ちゃんに、私も思わず声を上げる。







「瑞希お兄ちゃん!!あなた様がそう仰るのなら、僕も応援します。『俺』も檜扇湖亀達にはもう会いません。」
「ありがとう!!ありがとう!!真田瑞希君!!ありがとう!!凛道蓮君!!」
「これで話はまとまったな。」







その言葉に、私も鳥恒先生がまた泣き出す。







「マジで泣き虫だな、凛は?」







涙が止まらない私に、瑞希お兄ちゃんが寄り添う。







「大丈夫だ、凛。安心しろ。何もしなけりゃいいだけの話だ。悪女はじきにくたばる。」
「僕・・・・・人を見殺しにすることに抵抗がありましたが・・・・・今回ばかりは、罪悪感を覚えません。だから瑞希お兄ちゃん、高野湖亀を助けないで下さいね?」
「ああ、助けない。約束だ!!」







そう言いながら小指を差し出してくる好きな人。
反射的に、瑞希お兄ちゃんの小指に自分の小指を絡める私。







「ゆびきりげんまーん♪うそついたら、はりせんぼん、のーます♪ゆびきったっ♪」
「・・・はい・・・!」







他の人から見れば、私達の約束は物騒かもしれない。
罪を憎んで人を憎まずというけど、いつまでも都合のいいように好き勝手されては困る。
固く誓う私達に、鳥恒先生は笑顔で泣きながらうなずく。
そんな鳥恒先生の背中を、シゲ先生はずっと優しく撫で続けたのだった。








~反社上等!!雨降って地固まる!!からの~恐怖の昔話!?~完~










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