彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)







「最後に湖亀は、政治家の先生が使う弁護士を連れて来たんだ!!それで強制的にお支払いだ!!」
「けど、7年も焦らしたって点では、刑事さんはいい仕事してくれたっすね?」
「そうだろう!?そうだろう!?あの7年間は気分が良かった!あの女が手に入りそうで入らない金を、イライラしながら待ってたかと思うといい気味じゃ!!」
「だったら、もっといい気味になるように―――――――――――――俺は檜扇湖亀のドナーにはならないことにするぜ。」
「え!?」
「ほ、本当かい、真田瑞希君!!?」
「当たり前っすよ!!ここまで、法で裁かれてない犯罪者の話聞かされちゃ、誰がそんな犯罪者を助けるかっていうんですよ!!凛も、絶対にドナーになるなよ!!?」
「なりません!!」

(てか、なれません!!)

私、瑞希お兄ちゃんと血のつながりのある兄弟じゃないから!!


「ありがとう!!ありがとうございます、真田瑞希君!!凛道蓮君!!」
「わっ!?」
「お、おいおい?」







そう言うと、私と瑞希お兄ちゃんを同時に抱きしめる鳥恒先生。







「2人があの女のドナーにならなければ、あの女は死ぬ!!今度こそ地獄に落ちる!!やっと、おじい様と母上と竜憲兄上の無念を晴らせる!!おばあ様も浮かばれる!!」
「え?お父様は良いのですか?」
「1度でも、あの悪女側についた奴は敵だ!!」







憎々しげに言い放つと、私達を抱きしめる腕の力を強める鳥恒さん。







「あ、あの、鳥恒先生!」
「凛がつぶれる!力入れ過ぎっす!」
「あ、すまん!すまん!嬉しさのあまり、つい!!」







〔★あまり聞かない嬉しいだ★〕







鳥恒先生が私と瑞希お兄ちゃんを離す。
そのタイミングで瑞希お兄ちゃんは言った。







「檜扇湖亀は、生きてる価値のないババアだ。人間だ。」
「瑞希お兄ちゃん。」
「差別を脅迫に使い、我が子を脅迫の道具にして殺し、多くの人間を殺した疑いのある奴を、俺が助ける義理はねぇ。」







そう語る瑞希お兄ちゃんの表情は、龍星軍総長の顔をしていた。









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