彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「りっ!?」
「ばかばかばか!!今あなた、とんでもない親不孝をしましたよ!?」
「なっ!?」
好きな人が、自分の存在を否定することが悲しかった。
「瑞希お兄ちゃんのお母さんは、瑞希お兄ちゃんを愛していたから産む選択をしたんです!!」
「ふ・・・ざけんなっ!!俺でさえあったことのないおふくろのことが、なんで凛にわかるんだよ!!?」
「わかりますよっ!!瑞希お兄ちゃんの人柄を見てれば、わかりますよ!!」
悲しくて、悲しくて。
悲しいから必死で訴えた。
「僕は、瑞希お兄ちゃんが産まれてきてくれたことに感謝してます!!同時に、瑞希お兄ちゃんのお母様が大好きです!!」
「なっ!?」
「世間から見れば、暴走族をしてヤンキーをした瑞希お兄ちゃんは、褒められたものじゃないかもしれません!!ですが、いじめっ子を処分したり、ヤクザを亀津させたり、海外マフィンの侵略を防いだり、町の治安を守ったりと―――――――良いこともしている、ウィンウィンな特殊なヤンキーだと、自慢のお兄ちゃんだと僕は思っています!!」
「凛・・・!!」
「瑞希お兄ちゃんの血はキレイです!!檜扇家で汚染されることなく育った男の中の男!!オンリーワンです!!」
私の言葉に、瑞希お兄ちゃんの目が見開く。
「オンリーワンなんかじゃない!!」
怒りに燃える目で、私の好きな人は言い放った。
「凛、お前―――――――――檜扇柊護の面を見ただろう?」
「見ましたが、なにか?」
「俺とアイツは瓜二つだろうがっ!!つまり俺は、父親側に似ちまったんだ!!おふくろの要素を受け継げなかったんだよ!!」
「受け継いでますよ。性格が同じです。」
「だから!!会ったことないのに!!なんで断言できるんだよ!!」
「真田瑞希様に、良い要素しかないからです。顔なんて、年齢を重ねれば代わります。似てるのなんて今だけの期間限定です。」
「っ!!?―――――――――な・・・んだよ、それ・・・・・!!」
私の持論に、目頭を押さえる瑞希お兄ちゃん。