彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「瑞希お兄ちゃんは瑞希お兄ちゃんだよ!!誰が父だろうが、祖母だろうが、そんなの瑞希お兄ちゃんの人生に、何の影響も与えないよ!!」
「凛を殺しかけたんだぞ!!?」
「僕は死んでない!!生きてる!!これからも、絶対に生き延びてみせる!!」
「俺の血はおぞましい!!人殺しの血が流れてるんだ・・・!!」
「瑞希お兄ちゃんはだれも殺してない!!傷つけてなんていない!!」
「アキナを傷つけて、闇落ちさせてるじゃねぇーか!!?」
「あれは九条アキナが勝手に闇に落ちただけだよ!!瑞希お兄ちゃんの――――――誰かのせいにしないと気がすまなかっただけだよ!!九条アキナにとって、憎しみの対象はだれでもよかったはずだよ!!」
「アキナの存在が便所の虫以下共に知られちまった・・・!!今回は伊織がうまく立ち回ってくれたが、凛の安全が完全に保障されたわけじゃねぇ・・・!!必ず檜扇二三人は、何か仕掛けてくる・・・!!」
「僕のことは心配なさらないで下さい!!僕は、瑞希お兄ちゃんのことが心配です!!ご自身を大事になさって下さい!!」
「俺はいいんだよ!!どうせ、原料には嫌われてる!!ガキの時にはっきりと言われてる!!俺のことが大嫌いだと!!」
「僕は瑞希お兄ちゃんにそんなことを言う檜扇二三人が大嫌いです!!」
「俺だって大嫌いだ!!あんな男っ!!おふくろをもてあそんだ大ウソつきやろう!!俺だったあいつが憎い!!あいつが――――――――!!」
怒りに燃える瞳に、胸が締め付けられる。
私が瑞希お兄ちゃんの立場だったらと思うと、すごく屈辱的でいやでいやでたまらない。
きっと、今の瑞希お兄ちゃんはそんな気持ちなんだと思う。
「おふくろが死んだのは俺のせいだ。」
「・・・はい?」
突然、瑞希お兄ちゃんの口調が変わる。
大声からつぶやきに・・・声のボリュームが下がる。
「おふくろが、檜扇二三人のガキさえ妊娠しなきゃ死なずに済んだんだ!!」
「何言ってるんですか・・・?」
「俺を産むのと引き換えに、おふくろは死んだんだ!!俺は生まれた瞬間から親不孝者なんだよ――――――――――――!!」
「ばかっ!!!」
瑞希お兄ちゃんの両手首をつかんで顔から引きはがす。