無自覚なまま、愛を蓄えて。

初恋【梓side】



優星と会話をしたのはいつぶりだろうか。


昔はよく一緒に遊んだり、放課後勉強したりして過ごしていたのに。いつの間にか優星とは距離ができていた。


可愛くて素直で頑張り屋の優星は、俺にとって幼なじみでもあり、“初恋の人”でもあった。


優星は真面目すぎて自己肯定感がかなり低い。可愛いのに可愛くないと言うし、頑張っているのにずっと努力してる。


俺の中では最高の可愛い女の子なのに。


そんなに自己肯定感下げるなよ、と言いたくなるほどだった。まぁ、実際は視力が低くてメガネをかけているから周りの目を気にしているのもあるだろう。


だけど、メガネをとったらめちゃくちゃ可愛いというのを知られても困る。


それを素直に言ったらいいのに言えない自分がいやで。それもあってか優星とはあまり話さなくなった。


歳がひとつ違うということもあって、高校では離れてしまうだろうと思っていたのに何故か同じ高校にいて。入学式で優星を見つけた時はさすがに驚いた。
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