腹黒御曹司の一途な求婚
「…………萌黄か?」

 ざわつく会場の中で、その声は私の耳に一直線に飛び込んできた。
 刹那、時が止まったかと思った。

 頬の熱も一瞬で冷め、途端に足が動かなくなる。
 その人物は血相を変えた表情で、大股でこちらへ向かってくる。

「萌黄……帰ってきていたのか……!」

 驚愕の表情を浮かべるその人物は、十三年ぶりに相見える実の父だった。
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