腹黒御曹司の一途な求婚
「……今日のことは本当に申し訳ない。美濃さんが今着ているそのスーツももちろん弁償させてもらうし、怪我をしてたら治療費も払わせてほしい。後日、また謝罪をしてもいいだろうか」
悔しさを滲ませるように久高くんは下唇を噛んだ。
その様子に私は苦笑を漏らす。
確かに災難だったけれど、決して彼のせいではないのだから。
「いいよ、そんなの……久高くんのせいじゃないでしょ?こういうのたまにあるから、本当に気にしないで。幸い水だったから、洗濯すればいいだけだし。怪我も、さっきグラスがぶつかったところならアザが出来るくらいだろうし、湿布を貼ってれば治るもの。心配いらないよ。そもそも、お客様から謝罪とか弁償なんてしてもらうわけにもいかないしね」
「…………じゃあ、個人的にお詫びをさせてほしい。もしよかったら、今度食事なんてどうかな?」
そう言いながら久高くんは胸ポケットから革製の名刺入れを取り出すと、机の上で名刺の裏面にサッと何かを書き付けて、それを私に差し出した。
思わず受け取った名刺の裏側には、メッセージアプリのIDと、携帯電話の番号が美麗な文字で書かれていて。
これは受け取れない……。
そう思ってすぐさま名刺を返そうとしたのだけれど、久高くんは困ったように笑ってそれを拒否してくる。
「さすがに名刺を突き返されるのはショックだから、それだけは貰っておいて」
――確かにいただいた名刺を受け取らないのは失礼かもしれない。
かつての同級生とはいえ久高くんはお客様だ。無礼はいけない。
「…………えっと、じゃあ一応貰っておくね」
といっても私は連絡するつもりはさらさらなかったのだけれど。
久高くんもそれが分かったのだろう。
店を出る間際、念を押すように「連絡、待ってるから」と囁いて帰っていった。
悔しさを滲ませるように久高くんは下唇を噛んだ。
その様子に私は苦笑を漏らす。
確かに災難だったけれど、決して彼のせいではないのだから。
「いいよ、そんなの……久高くんのせいじゃないでしょ?こういうのたまにあるから、本当に気にしないで。幸い水だったから、洗濯すればいいだけだし。怪我も、さっきグラスがぶつかったところならアザが出来るくらいだろうし、湿布を貼ってれば治るもの。心配いらないよ。そもそも、お客様から謝罪とか弁償なんてしてもらうわけにもいかないしね」
「…………じゃあ、個人的にお詫びをさせてほしい。もしよかったら、今度食事なんてどうかな?」
そう言いながら久高くんは胸ポケットから革製の名刺入れを取り出すと、机の上で名刺の裏面にサッと何かを書き付けて、それを私に差し出した。
思わず受け取った名刺の裏側には、メッセージアプリのIDと、携帯電話の番号が美麗な文字で書かれていて。
これは受け取れない……。
そう思ってすぐさま名刺を返そうとしたのだけれど、久高くんは困ったように笑ってそれを拒否してくる。
「さすがに名刺を突き返されるのはショックだから、それだけは貰っておいて」
――確かにいただいた名刺を受け取らないのは失礼かもしれない。
かつての同級生とはいえ久高くんはお客様だ。無礼はいけない。
「…………えっと、じゃあ一応貰っておくね」
といっても私は連絡するつもりはさらさらなかったのだけれど。
久高くんもそれが分かったのだろう。
店を出る間際、念を押すように「連絡、待ってるから」と囁いて帰っていった。