腹黒御曹司の一途な求婚
 そんな思惑が透けて見えていたからこそ、俺は周囲の戯言をねじ伏せるだけの成績を叩き出してきた。
 
 その結果、制度に則って極めて順当に管理職のポストを与えられたわけだが、旧時代的な思考で凝り固まった連中から未だに特別人事だと反感を買っている。
 
 とはいっても小言を聞き流しておけばいいだけなので、大して気にしていない。
 こそこそ嫌味を言っている時点で、己が小物だと喧伝しているようなものだ。

 それでも自分に反発する人間を把握しておくのは後々の社内政治で役に立つ。いい機会なので駿から色々情報を仕入れておいた。

ちょうどその時、ウェイターがオーダーした飲み物といくつかの料理を運んできた。
 大抵一杯目はビールだが、今日はウーロン茶。理由は……言わずもがな。
 泡を立てていないその存在が駿の目には異様に写ったらしく、怪訝そうに俺の顔を凝視してくる。

「禁酒してんの?なんで?」
「色々あるんだよ。まあ、後で話す」

 とりあえず乾杯、と半ば強引に話を打ち切り、俺はグラスを掲げた。
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