腹黒御曹司の一途な求婚
(ずっと、待っててくれているんだよね……)

 嬉しい……でも同時に、煮え切らない態度で彼を振り回してしまっていることに対する心苦しさもあって。
 
 いつまでも怖気付いている自分が嫌になる。
 でも自己嫌悪に陥りそうになる寸前、ふと思った。

(……好きだって言ったら久高くんは、喜んで、くれるのかな……?)

 きっと喜んでくれるはず。自惚れとは、思わない。
 久高くんはいつも言葉を惜しむことなく、私のことが好きだと伝えてくれていたから。
 
 彼のはにかみ笑いが頭の中にパッと浮かぶと、胸に甘い痺れが広がった。
 そしてその笑顔は何よりも私の背中を押してくれたように思えた。

 私はギュッと拳を握りしめ、和泉さんをジッと見据える。

「あの、和泉さん……」
「ん?」
「さっきの、私が久高くんのことをどう思うかってやつなんですけど……」

 改まって何を言うんだ、なんて思われるかもしれない。
 まだ足はすくんでいて、一歩は踏み出せないけども。
 それでも久高くんのことをなんとも思っていないと思われるのだけは嫌だった。

「私の心の準備ができたら、一番に久高くんに伝えたいので、和泉さんには内緒です……」

 そう言い切った私はすかさず俯いて、箸をとって黙々とご飯をまた食べ始めた。
 大したことは言っていないはずなのに、顔が茹だったように熱い。

「……うん、そっか。そうだよね。りょーかい」

 和泉さんの返事は、心なしか声が弾んでいるように聞こえて。
 私は和泉さんの顔も久高くんの反応も確かめられないまま、ずっと目線を下げていた。
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