花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
『君の欄を記入してくれ』
夫の欄に【春海櫂李】と記入された離婚届だった。
それを見たら、堪えようとしていた感情が溢れてしまった。
『嫌です、離婚なんて』
目からは止められない涙がこぼれてしまっている。
『木花』
『こんな一方的に……どうして』
『理由ならさっき言ったはずだ』
『だって、そんな理由……これからまた気持ちが変わるかもしれないじゃない』
彼の目を見て訴えると、彼は首を横に振る。
『私の気持ちが変わることはない。それは私が一番理解している』
『こんなのひどい……』
『慰謝料が欲しければ、君の欲しい額を出すよ』
冷たい声。
『お金なんかじゃ——』
『五日後に引っ越し業者を手配してある。離婚届は君のできるタイミングで記入して、提出しておいてくれ』
そう言って、彼は泣いている私を放って部屋を出て行ってしまった。
それからしばらくその部屋で泣いて、私室の布団の中でも泣き続けた。
だけどその夜はどこか現実味が無かった。
引っ越しまでの五日間は、先日の気まずかった一週間よりさらによそよそしく過ごすことになった。
寝室だけでなく、食事も別々の時間にとった。
会話は必要最低限。
重苦しい空気に耐えられなくて、引っ越しの準備以外はほとんど遊びやバイト、それに無理矢理作った予定で外出して過ごした。
その日々が、私に離婚することを実感させた。
夫の欄に【春海櫂李】と記入された離婚届だった。
それを見たら、堪えようとしていた感情が溢れてしまった。
『嫌です、離婚なんて』
目からは止められない涙がこぼれてしまっている。
『木花』
『こんな一方的に……どうして』
『理由ならさっき言ったはずだ』
『だって、そんな理由……これからまた気持ちが変わるかもしれないじゃない』
彼の目を見て訴えると、彼は首を横に振る。
『私の気持ちが変わることはない。それは私が一番理解している』
『こんなのひどい……』
『慰謝料が欲しければ、君の欲しい額を出すよ』
冷たい声。
『お金なんかじゃ——』
『五日後に引っ越し業者を手配してある。離婚届は君のできるタイミングで記入して、提出しておいてくれ』
そう言って、彼は泣いている私を放って部屋を出て行ってしまった。
それからしばらくその部屋で泣いて、私室の布団の中でも泣き続けた。
だけどその夜はどこか現実味が無かった。
引っ越しまでの五日間は、先日の気まずかった一週間よりさらによそよそしく過ごすことになった。
寝室だけでなく、食事も別々の時間にとった。
会話は必要最低限。
重苦しい空気に耐えられなくて、引っ越しの準備以外はほとんど遊びやバイト、それに無理矢理作った予定で外出して過ごした。
その日々が、私に離婚することを実感させた。