花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
涙が出てしまうけど、これだけは彼の方を見て言いたい。

「私は、きっとずっとあなたのことが好きです」

「木花」
「だって、無理です。こんなに急に気持ちを変えるなんて」

「木花、それはだめだ」
彼が私の目を見て言う。

「そんなの、私の勝手じゃないですか。別れたくないなんて言わないから」
「だめだ。私のことは忘れなさい」
焦っているような、言い聞かせるみたいな口調。

「どうして?」
「すみませーん! そろそろトラック出ますよ」
私が質問したのと同時に、引っ越し業者が声をかける。

「はーい。今行きます」
名残惜しくないと言ったら嘘になるけど、彼を困らせてはいけない。

「じゃあ、今までありがとうございました」
そう言って、家の鍵と門のカードキーを櫂李さんに返す。

「木花、私のことは忘れると約束してくれ」

念を押すように言う彼に、私は首を横に振る。

「嫌です。嘘になってしまうから」
それだけ言って私は春海家のお屋敷を後にした。

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