花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
「え〜? そんなもんなの?」
「さあ? 私に言われても」
だって私は冷めるなんてあり得ないって今でも思ってる。
「春櫂先生も芸術家気質ってやつなのかな。有名な芸術家とか文豪って恋愛が奔放だったりするもんね」
「櫂李さんは……」
「そんな人じゃない」って言おうとして、自分が彼の何を知っているんだろうと思って躊躇う。
一年にも満たない関係で、全てを知った気になるなんておかしい。
現に、今の彼の気持ちはわからない。
「でも優しいね、春櫂先生」
「え?」
「だってさ、きっと木花が一番動きやすい春休みに引っ越せるようにして、こんな良い部屋もいつまででも使って良くて、とくに名字は大学で変に噂にならないようにって気遣ってくれたんじゃない?」
香奈がチーズをつまみながら言う。
「まぁ〜急に別れてる時点で優しくないかもしれないけど。あれ? これってむしろ残酷な優しさか?」
「優しいよ……」
そういうところは絶対気を遣ってくれる人。
「そういう人だから好きなの……」
気がついたらまた涙がこぼれていた。
「木花〜!」
香奈が私を抱きしめて頭を撫でてくれる。
人の温もりに触れて、堰を切ったように泣きじゃくってしまう。
やっぱり、彼を好きになってしまった気持ちは簡単に変えられそうにない。
「さあ? 私に言われても」
だって私は冷めるなんてあり得ないって今でも思ってる。
「春櫂先生も芸術家気質ってやつなのかな。有名な芸術家とか文豪って恋愛が奔放だったりするもんね」
「櫂李さんは……」
「そんな人じゃない」って言おうとして、自分が彼の何を知っているんだろうと思って躊躇う。
一年にも満たない関係で、全てを知った気になるなんておかしい。
現に、今の彼の気持ちはわからない。
「でも優しいね、春櫂先生」
「え?」
「だってさ、きっと木花が一番動きやすい春休みに引っ越せるようにして、こんな良い部屋もいつまででも使って良くて、とくに名字は大学で変に噂にならないようにって気遣ってくれたんじゃない?」
香奈がチーズをつまみながら言う。
「まぁ〜急に別れてる時点で優しくないかもしれないけど。あれ? これってむしろ残酷な優しさか?」
「優しいよ……」
そういうところは絶対気を遣ってくれる人。
「そういう人だから好きなの……」
気がついたらまた涙がこぼれていた。
「木花〜!」
香奈が私を抱きしめて頭を撫でてくれる。
人の温もりに触れて、堰を切ったように泣きじゃくってしまう。
やっぱり、彼を好きになってしまった気持ちは簡単に変えられそうにない。