花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
「……なんかあったのか?」
「え?」
「だって金が必要ってことだろ?」
颯くんの言葉に首を横に振る。
多分、櫂李さんとの不仲を心配してくれてるんだ。
「ちょっと自分のお金で買いたいものがあって」
「ふーん。シフト教えてよ、毎回来てやるから」
「え、そんなことしなくていいよ。純粋に飲みたいときに買いに来て」
「なんだよつれないなー」
そうこぼしてミルクを受け取ると、颯くんはコーヒーをテイクアウトしていった。
「ねえねえ、春海さんて菊月先生と知り合いなの?」
バイトの先輩女子が聞いてきた。
私の一つ上でダークブラウンのお団子ヘアに黒縁のメガネの双葉さん。
私の教育係で一通りのマニュアルを教えてくれたけど、年が近いからすぐにフレンドリーな雰囲気になった。
「幼なじみなんです。お兄ちゃんみたいな感じっていうか」
「えーうらやましい! 菊月先生ってイケメンで愛想も良くてここのスタッフの間でも人気があるんだよ」
「そうなんですか」
颯くんは背も高いし、世間の評価ではイケメンなんだよね。
私には身近な存在すぎて全然そんな風に思えないけど。
「幼なじみってさ、もしかして菊月先生と付き合ってるとか好きとかあるの?」
好奇に溢れた表情の双葉さんの言葉に思わずぶんぶん首を振る。
「ないない! だいたい私、結婚してます!」
「えーマジ!? 人妻? 私の一個下なのに!」
私は左手の薬指を見せてコクコク頷く。
「え?」
「だって金が必要ってことだろ?」
颯くんの言葉に首を横に振る。
多分、櫂李さんとの不仲を心配してくれてるんだ。
「ちょっと自分のお金で買いたいものがあって」
「ふーん。シフト教えてよ、毎回来てやるから」
「え、そんなことしなくていいよ。純粋に飲みたいときに買いに来て」
「なんだよつれないなー」
そうこぼしてミルクを受け取ると、颯くんはコーヒーをテイクアウトしていった。
「ねえねえ、春海さんて菊月先生と知り合いなの?」
バイトの先輩女子が聞いてきた。
私の一つ上でダークブラウンのお団子ヘアに黒縁のメガネの双葉さん。
私の教育係で一通りのマニュアルを教えてくれたけど、年が近いからすぐにフレンドリーな雰囲気になった。
「幼なじみなんです。お兄ちゃんみたいな感じっていうか」
「えーうらやましい! 菊月先生ってイケメンで愛想も良くてここのスタッフの間でも人気があるんだよ」
「そうなんですか」
颯くんは背も高いし、世間の評価ではイケメンなんだよね。
私には身近な存在すぎて全然そんな風に思えないけど。
「幼なじみってさ、もしかして菊月先生と付き合ってるとか好きとかあるの?」
好奇に溢れた表情の双葉さんの言葉に思わずぶんぶん首を振る。
「ないない! だいたい私、結婚してます!」
「えーマジ!? 人妻? 私の一個下なのに!」
私は左手の薬指を見せてコクコク頷く。