拗らせ女の同期への秘めたる一途な想い
***

経理部長の乾杯の挨拶で飲み会が始まった。
早速、南川さんが動いた。
まずは初田さんのそばに行った。
有無を言わせず、私も連れていかれた。

初田さん、南川さん、私という横並び。
私と南川さんで初田さんを挟んで座ると、万が一、私の方を向いて話す量が増えたら嫌とのこと。
自分勝手すぎてウンザリだ。
誰でもいいから、早く南川さんに落ちてくれと願うばかり。

いつものように私が口火を切る。

「初田さんは休みの日はなにをされているんですか?」

その役目が終わると、口を閉じて唐揚げを頬張る。
あとは南川さんが喋るだけだ。

「休みの日か、映画みたり家でダラダラしてるかな」

「映画、私も好きでよくみてます。初田さんはどんなジャンルが好きなんですか?」

「アクション系とかホラーが好きでよくみてるよ」

「ホラーが好きなんですね。私、一人だと怖くて見れないので今度一緒に行きませんか?」

「そうだね」

「えー、約束ですよ」

ふふ、と笑いながらさりげなく初田さんの腕に左手を添えてボディタッチしている。
反対側の右肘で私を小突いた。
はいはい、彼女の存在ですね。

「あの、初田さんって彼女とかいらっしゃるんですか?」

「彼女はいないよ。募集中」

ニコリと笑って言う。

「えーそうなんですね。モテそうなのに」

南川さんが嬉しそうに言い、もう一度右肘で私を小突いた。
これで私の役目はひと段落だ。
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