拗らせ女の同期への秘めたる一途な想い

「学生の頃、バスケをしていた」

「そうなんですね。背が高いしバスケっぽいです」

南川さんが一生懸命話していたけど、小笠原課長の反応は薄い。
これは脈ナシだな、なんて思っていたら南川さんに右肘で小突かれた。
ここで聞くの?
私は仕方なく、いつものセリフを口にした。

「あの、小笠原課長は彼女とかいらっしゃるんですか?」

「申し訳ないがこれ以上、プライベートなことを話すつもりはない」

ピシャリと言われ、黙るしかなかった。
これには、さっきまでにこやかだった南川さんが真顔になり、再び私を睨み付ける。

そして、いきなり立ち上がるとなにも言わずに場所を移動した。
南川さんに理不尽な怒りをぶつけられ、叫びたくなった。
私のせいじゃないでしょ!
私はいつも通り、南川さんの言うことを聞いただけなのに自分勝手すぎる。

イライラが募り、二度と南川さんの言うことなんて聞いてやるもんかと心に誓う。
とりあえず、踏み込んでほしくないであろうプライベートな部分を聞いてしまった小笠原課長に謝罪をしないといけない。

「すみません」

「いや、君が謝ることはないよ」

謝罪した私に小笠原課長は優しく言った。
その瞳には同情が含まれている気がして、もしかして南川さんに言わされたことを気づいているのかもしれない。

「君もいろいろ大変だな」

小笠原課長がボソリと呟いた。
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