その指先で、僕を描いて。
「美術部…美術部…っと…あった!」
よかった。
美術部はお昼も活動していると廊下の部活紹介の紙に書いてあって、早速見に来た。
「失礼しまーす…」
音を立てながらスライド式の美術室の扉を開くと、そこには数々の作品たちが。
よくドラマやアニメなんかでみる「新入部員!?」と明るく笑顔を咲かせ、目を輝かせながら歓迎される場面を想像したがそこには誰もいなかった。
「何これ…」
1つの作品が目に入った。
それは、人の顔のようだけれど目も鼻も口も顔の中身自体の詳細は描かれておらず、様々な色を使って人の顔を表現している作品だった。
作品を見た瞬間の衝撃は言葉で表すのがとても難しいほど、心の奥底の何かに刺さって抜けなかった。
淡い色を使っていて、とても綺麗で良い意味で無垢な作品というべきか…
でもどこか儚げもあって消えそうな作品でもある。
私は暫くこの作品を眺めて考えていた。
「それ、僕の作品だけどどうかな?」
すると突然後ろから優しい温かみのある声がした。