カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「先輩」

「なに、怒んないの?」

「先輩って私のこと好きなんですか?」

「は?」

「私は好きな人がいるからこういうことされたくないけど、先輩は私が好きだからこういうことするんですか?」

「だったら何?そうだって言えば好きにさせてくれんの?」

「嫌ですけど…」

「はぁ…まぁいいや。勝手にするし」

「しないでください。悠太が好きなんです、私」

「ゆうた、ゆうたってうるせーな。なぁ、砂雪」

「はい?」

「俺さぁ、もうすぐ本気でお前の恋を壊すけどいい?」

「またそれですか?それってずるいですよね」

「ずるい?」

「仮に、仮にですよ?先輩が私のことを好きだとして………」

言いかけて止まった私を先輩が不思議そうに見ている。

自分で言いながら、仮にでもあり得ないって思う。
こんな同じ人間とは思えないような人が私みたいな平々凡々な女を好きなわけがない。

地球上にわんさかと存在している女性の中からわざわざ私を選ぶはずがない。

「あはは!」

「なんだよ気持ちわりぃな」

「いや…ごめんなさい。あり得ないんですけどね、先輩みたいな美しい生き物が私を好きとか」

「美しいって思ってんだ?」

隙さえあればすぐに近づいてこようとする先輩を右手で押し退けた。

「そりゃ美しいですよ。それは事実なんだからしょうがないですね」

「どこが?」

「はい?」

「俺のどこが美しいの?」

私の髪の後れ毛をつまんでスッと撫でた先輩の動作が綺麗すぎて息を飲んだ。

「どこって…」

「ちゃんと見て。俺のこと」

「ぜん…ぶです…」

「んー?」

「ぜんぶきれい」

「へぇ?そっかぁ」

心臓がドキドキして痛い。
こんなんじゃいくら悠太が好きって言ったって説得力無いよ。

私って最低…。
本郷先輩に対して恋愛感情は無いのに、これって見た目だけで感情が揺さぶられてるの?

それとも先輩の今までの言動?

最低だ。最低…最低だよ…。
< 110 / 236 >

この作品をシェア

pagetop