カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「とにかく…!私の恋を壊すとか意味分かんないです。それって正当じゃないし、それに…」

「それに?」

「私が恋を失くしたらあなたが恋を手に入れるなんて絶対に嘘だから!」

「そっか。分かった」

「分かった、んですか?」

「分かったけどごめん。やめてはあげられない」

「分かってないじゃないですか!」

「砂雪」

「はい」

「お前は白黒はっきりしないと気持ち悪い性格みたいだからさ」

「そうですね」

「だったら、それで砂雪が満足なら言うけど」

「はい」

「砂雪、好きだよ。誰よりも。お前しか要らない。だからお前の恋を壊す」

「は………冗談………」

「最低な女だな。冗談にすんなよ」

先輩のくちびるが私の口を塞ぐ。
今度は触れるようなキスじゃない。

余裕の無いキス。
媚薬で乱れたときみたいに、本郷 カナデが私を求めてるってはっきりと分かって………怖かった。

「ン…ふ…」

「砂雪」

「苦し…です…」

「苦しいです、じゃねーんだよ。いつもみたいに拒めよ」

「だって…力はいんな………」

「はー…お前ほんとえぐいって…興奮する」

「でもヤダ…嫌です…」

「嫌々ばっかだな」

本郷先輩がテーブルの上の教科書を掴んで私に押しつけた。

「先輩?」

「行けよ」

先輩の苦しそうな表情。
私の目を見ようともしない。

さっき近づいた先輩の目に、コンタクトは入っていなかった。
漆黒なのに透き通るような澄んだ瞳が私を捉えて離さなかった。

「早く行けって。じゃなきゃ本当に襲うから」

私は生徒会室を飛び出した。
また先輩を一人で置き去りにして。
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