カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「なんで…?悠太の気が済むまで謝るから…だからちゃんと話そ…?」

「なら早く消えて?俺に話しかけないで」

「ヤダ…嫌だよ…」

「本郷さんにさぁ、殺すぞって言われたよ。砂雪に関わったら殺すぞって。すげぇ王子様だな?」

見たことのない表情で悠太が笑った。
口角は上がっているのに、憎しみや嫌悪を込めた目で私を見て、悠太は立ち去った。

力が抜けてその場に崩れ落ちそうだったけれど、踏みとどまった。

グッと握り締めていた右腕に爪が食い込んで跡ができている。

怒りだけを原動力にして、三年生の教室まで走った。

今日はさすがに生徒会室には居ないと思った。
試験の前日は放課後以降、職員室を含めて教室以外の立ち入りを禁止されていたから。

いくら会長でもそのルールは守らないと示しがつかないと思った。

三年生の教室がある三階まで走り続けた。
モネが心配してるって思った。

でも今はモネのところには戻れなかった。

怒りで頭がおかしくなりそうだった。

本郷先輩が居るはずのA組。
教室の中を確認しなくても分かる。

中間試験前日なのに教室の前には人だかりができていて、この人達に「カナデ様」より大事な物は無いらしい。

そんな人だかりも押しのけて前に進んだ。
後ろから私を罵倒する声がいくつも聞こえてくる。

好きなだけ言えばいい。
そんなことは今はどうだっていい。

三年生の教室に入ったことなんて無い。
同じ学園に在籍する生徒のはずなのに、やっぱり上級生のクラスは雰囲気が全然違う。

ドアの前で三年A組の教室を見渡した。

窓際から二列目。
一番後ろの席に本郷先輩が座っている。

女子達に貼りつけたような笑顔を振り撒いて、席を立とうとする本郷先輩のところまで大股で近づいた。

突然入ってきた知らない生徒に、みんなが注目した。
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