カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「ずっとあそこにいるの?」

「うん。終礼が始まった時からずっと」

「一人で?」

「ううん」

「…誰と?」

モネの答えを聞かなくても誰の名前が返ってくるか、なんでか私には分かっていた。

胸がドキドキ鳴っている。
口から心臓が出そうだった。

「本郷先輩」

モネが言い終わらないうちに私は教室を飛び出していた。

足がもつれそうになりながら階段を駆け降りて、上靴のまま外に出て別棟まで走った。

窓から飛び降りれば真下だけど、一度校舎を出たら反対側まで回らなきゃいけない。

そもそも飛び降りれるわけも無いのに、回り道をしなきゃいけないことがもどかしい。

体よりも気持ちのほうが急いて何度も転びそうになった。

「悠太…!」

名前を呼ばれた悠太は俯いていた顔をパッと上げて………私とは反対方向へ歩き出した。

「悠太待って!」

走って悠太の手首を掴んだ。
その手を、悠太は強く振り解いた。

「触んな」

「なんっ…なんで?本郷先輩に何言われたの?」

「砂雪」

「なに…?」

「お前とはもう友達じゃない」

悠太に好きって言ったくせに本郷先輩にいっぱい触られたこと、バラされちゃったのかな。

それとも生徒会員に関わるなとか言われた?

「悠太ごめん、私…ごめんね、でも本当に悠太のことが…」

「うるさいって。砂雪、お願いだからもう二度と俺に関わるな」
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