カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
二階の自分の部屋に上がってベッドに体を投げた。

目を閉じたら悠太の顔ばっかりが浮かんでくる。

悠太が触れてくれた頬とか、キスとか…「好き」って言葉に「ありがとう」って言ったこと。
あぁ、そうか。
悠太はやっぱりおんなじ「好き」では無かったのかなぁ。

スマホにはモネからメッセージが届いていた。

「サユちゃん、今どこ?」

「悠太、教室に戻ってきたよ?」

「サユちゃん、大丈夫?」

「生徒会室かな?ごめんね、先生が早く帰りなさいって。先に帰ってるね」

そのメッセージに返信を打つ指にもあまり力が入らない。
全てが無気力だった。

「心配かけてごめん。今うちだよ」

私が送ったメッセージにすぐに既読マークがついた。
モネがずっと心配して待っててくれたんだって分かって、また涙腺がゆるんだ。

「サユちゃん!良かった!大丈夫なの?」

「明日休むかも」

「え?試験はどうするの?」

「なんとかするよ。ごめん。なんか具合悪くて」

「サユちゃん心配だよ。今からお見舞い…は迷惑だよね。吐きそうなの?」

「本当に大丈夫。ちょっとメンタルっていうか…」

「悠太と何かあった?」

悠太はモネには話してないんだ。
モネにだったら本当の理由を話してるかもって思ったんだけど。

「今度話すね。本当にごめん」

「分かったよ。ゆっくり眠ってね。待ってるから」

「ありがとう」

スマホを枕元に置いて目を閉じた。

眠れるはずない。
悠太の言葉がぐるぐる回る。

本郷先輩の頬を叩いた手の平の感触は覚えていない。
必死だったから。
怒りのほうが強かったから。
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